事業部制とカンパニー制の違い

事業部制カンパニー制の違い


両制度は良く似ている。

一般的にこの両制度の違いは「権限委譲のレベルの違い」のみ。

法的定義はない。

企業ごとに、定義と呼び方が違う。

一般的には、カンパニー制のほうが、経営自由度が高く、権限委譲が大きい。

カンパニー制は、社内子会社のような形態で、

事業部長に相当するマネジャーをプレジデントと呼び、投資権限や広範な人事権を与えるなど、

より独立した企業に近い状態。

持株会社(ホールディングス)の解禁とともに、

持株会社と子会社で代用できることから、その基本的な役割は終えたものとされる。


弊害も多く、カンパニー制を廃止した企業も増えています。

日本電気NEC)→廃止

富士ゼロックス→廃止

ソニー→2005年10月に事業本部制に改組


事業部制 Divisional Organization>

本社部門の下に、事業ごとに編成された組織(事業部)を配置した組織形態。

本社部門の負担を減らし、各事業で迅速な意思決定ができる。

◆メリット

(1)権限委譲により、市場の変化を的確に踏まえた迅速な意思決定が期待できる

(2)事業部ごとに損益計算書を作成するため、事業別の利益責任が明確になる

(3)本社部門のる負担が軽減され、本社部門がより全社的、戦略的な事項に集中できる

(4)事業部長に経営者としての経験を積ませることができるなどがあげられます。

・会社代表の判断が入り、適切な判断が下せる。

・事業運営に関する責任・権限を事業部に委譲することで、本社部門の経営負担が軽減され、各事業の状況に応じた的確で・迅速な意思決定が促進される。

本社の戦略的一元化のもとで 収支を超えて事業シナジーを追求しやすい。

◆デメリット

(1)各事業部が経営機能を重複して持つため、経営資源面での無駄が生じる

(2)組織の壁により、事業部をまたがる新商品、新サービスが生まれにくくなる

経営判断が遅くなる。

・社長の後継者が育ちにくい。

・事業部単位の独立性がなく 最終的に責任の所在が曖昧になり、また事業収支の評価がしにくい。

・各事業部間の調整に時間がかかり 意思決定が遅くなる。結果 非採算部門の撤退や経営資源の集中が図りにくい。

・事業のスクラップ&ビルドがスピーディに行えない





カンパニー制 Division Company Organization>

本社部門の下に、事業部制組織における事業部門よりも、自立性・独立性が高い

事業部門(カンパニー)を配置した組織形態。

◆メリット

(1)開発、製造、販売といったバリューチェーン機能の大部分をカンパニー内に取り込むことで、事業部制よりも組織としての自己完結性を高める

(2)カンパニーのトップを「プレジデント」や「社長」などと称するとともに、今まで以上の決裁権限を付与する

(3)カンパニーごとに資産負債を配分して貸借対照表を作成し、損益だけではなく、資産効率についても管理責任を持たせるように、組織の自立性・独立性を高めている

・カンパニー毎のトップに、経営責任が生じ、自らが自発的に経営判断する事が求められる事で、経営力が向上することが見込める

・ヒト、モノ、カネの経営資源を各カンパニーに分配し、独立採算を徹底するとともに、権限も大幅委譲。意思決定が早い。

①損益計算だけでなく貸借対照についても責任を持たせる。→資金調達に関する一連の権限や、事業用資産の取得や売却といった権限の委譲により、独立採算制が可能となる。

②人事制度(採用、昇格、移動、評価)の権限まで与える。

③独立した事業体での評価であるため 事業収支が明らか。

④事業収益から撤退の判断が早い。不採算部門は切り離し、優良部門には集中投資が可能。

◆デメリット

強力にカンパニー制を推進することで、本来全社的に共有したほうが望ましい経営資源が分散し、

全社最適に向けた動きがとりづらくなるという弊害もはらんでいます。

・カンパニー毎に競争が発生、情報流通が過疎化し、技術交流・人事交流が少なくなり、事業毎のシナジーを生み出すのが難しくなる。

・間違った判断で突き進むリスクがある。

・個々の事業法人単体のメリットを追求するため 将来的価値の創造を目指した事業シナジーは組みにくい。

・総体的な企業価値という観点からは非効率。





事業部制

事業部制とは、基本的には製品開発に始まり、製造、販売そしてこれらを管理するためのすべての機能を有する組織であり、製品(ライン)別あるいは地域別に設置されます。製造事業部や販売事業部という形式の組織もしばしば見かけますが、これらは上記の定義とは異なるもので、製造や販売という機能に特化した組織であり、いわゆる機能部制組織というものです。わが国では機能部制組織が多数見られます。

事業部制組織を採用するメリットは、特定の製品や市場に関する権限と責任を与えて、迅速かつ有効に環境変化に対応することができること、業績に関する責任が明確になるので、事業部長に動機づけができること、事業部長は経営者として多くの意思決定を行うため、経営者養成が可能となること、本社は主として戦略的な意思決定に集中できることなどが指摘されています。ここで指摘されている権限と責任、業績評価といった側面は、責任会計を導入していなければなりません。

一方で事業部制の問題点としては、間接部門(管理部門)を各事業部が抱えるため、費用が余計にかかること、振替価格で論じたような部分最適化が生じる可能性があることなどがあげられています。前者を解決するためにはシェアード・サービスなどの手法がとられます。