優秀な社員さえもつぶしてしまう3つの企業文化

1. みんながものすごく忙しい

経営者としては、従業員が暇そうに席に座っている状況を避けたい気持ちはわかります。でも、実直に仕事と向き合い、じっくり考えて決断を下してもらうためには、常に殺気立った状況で働いている状態も困りものです。慌ただしい状況や疲れ果てた従業員は、危険なミスを犯します。それだけでなく、時間がないと、社員が利己的な行動をとりやすくなります。これは、長期的に見て、チームに悪影響をおよぼします。



Kaptein医師は、ある研究結果を引用しています。その研究では、神学科の学生に「善きサマリア人」のストーリーを聞かせたあと、あるビルから別のビルへ歩かせました。その道すがら、学生は苦難の人に遭遇します(研究者が用意した人物です)。十分な時間がある学生は、ほぼ全員がその人を助けました。一方で、「できるだけ速く移動すること」を命じられた学生は、9割がその人を完全に無視したと言います。


社員に同じようなプレッシャーを与えていませんか? それでは、困っている同僚に対して目をふさいでしまうのは無理もありません。



リーダーは、デスクに向かっている時間とアウトプットは無関係であることを認識しなければなりません。社員には、Noと言う権利があることを教えてあげましょう。火が燃えることができるのは、酸素を供給できる空間がある場合に限られるのです。



2. リーダーが模範になっていない

ささいなことであれ、会社のコアバリューにかかわるような重要なことであれ、リーダーが模範を示さなければ、必ず部下に伝わります。リーダーシップには「重力の法則」があり、誰もそこから逃れることはできないのです。



リーダーの行動は、グループ全員に伝わります。正しいはずの人物が間違ったことをしているのを見ると、「正しいこと」に対する考えが揺らいでしまうのです。この現象は、心理学では「ネガティブな社会的証明」として知られています。


企業では、上司がルールを無視したり、雑な言葉遣いをしていると、これが起こりやすくなります。

「型どおりにやりましょう」のような発言は、あっという間に社員のクリエイティブシンキングを奪うことがわかっています。リーダーの行動、暗黙のルール、主要なチームメンバーのプロジェクトには、特に慎重にしてください。社員は、これらの細かいことに非常に敏感です。



3. 経営者の望む文化が不明確

会社の文化的価値観なんて、自明であると思っているかもしれません。でも、本当にそう思いますか? 価値観が不明確だと方向性が定まらず、やがて非生産的な行動を招きます。

会社の価値観が共有されていないと、「それ自分の仕事じゃないし」症候群が頭をもたげます。価値観の発達を流れに任せていると、あいまいな文化が育ってしまいます。早く終わらせることと、完ぺきな仕事のどちらに価値をおくのか。職場での率直な発言を歓迎するのか。透明性を重んじ、正直なコミュニケーションを奨励するのか。社内で重んじる企業文化のマニフェストを必ず決めるようにしてください。経営者が会社の価値観を知らなければ、チームメンバーにそれがわかるはずがないのですから。