三井物産、マンション改修「リノベる」に出資。

三井物産、マンション改修「リノベる」に出資。

2017/04/05 日経

 三井物産はマンション改修を手掛けるベンチャーのリノベる(東京・渋谷)に出資する。同社はIT(情報技術)を活用してマンション購入から大規模リノベーション(改修)までのサービスを一貫して提供する。三井物産が持つマーケティングや物流などのノウハウを組み合わせることで成長力を高める。

 三井物産はリノベるが実施する第三者割当増資を引き受けると同時に、既存株主から一部株式を買い取る。投資額は13億円で、創業者以外では最大の株主となる。

 リノベるは2010年設立のベンチャー。マンションのリノベーションに興味がある人をインターネットメディアを通じて集客し、デザインの提案や改修工事の紹介までする。ITを活用し、すべてをネット上で完結できる利便性の高いサービスが特徴。

 規模の小さい協力工務店向けには、現場の作業工程や資材の調達・運搬をスマートフォンで管理できるサービスも提供する。

 三井物産は出資を機に、放送メディアとの連携によるマーケティングのノウハウや、物流インフラなどを提供する。


電力小売り自由化1年、新規参入組、ジワリ増勢、「北陸電離れ」、足元で加速。

2017/04/01 日本経済新聞 

 電力小売りの全面自由化から1年を迎えた。北陸電力は割安な電気料金や会員サービスで地域の足場を固めつつ、北陸でのつながりを取っかかりとして首都圏市場を開拓。2月末の切り替え件数は1万8800件とわずかにとどまる。だが、離脱のぺースは加速傾向だ。参入企業もじわりと広がっており、今後さらに切り替えが進む可能性がある。

1万8800件どまり

 「競争は日に日に厳しくなっている印象だ」。北陸電の金井豊社長は1月末の会見で、離脱ペースが加速傾向にあることについてこう語った。

 2016年4月の電力小売りの全面自由化以降、北陸電が注力してきたのは囲い込み戦略だ。会員制度「ほくリンク」でポイントサービスを充実させたほか、対象店舗を順次拡大。料金や使用料が一目でわかる便利な機能も受け、会員数は2月末で17万件に達した。自由化以降では10万件伸びたことになり、「取り組みの効果は着実に出ている」(同社)という。

 電力広域的運営推進機関によると、北陸電から新規参入の電力会社に契約を切り替えた件数(2月28日時点)は1万8800件。同社の一般家庭など低圧契約数に対して約0・9%にとどまる。割安な料金や市場規模などが障壁となり新規参入が少なかったことが背景にあるほか、囲い込み戦略も奏功したようだ。

 だが、1カ月当たりの切り替え件数は増加傾向にある。2月末時点での件数は半年前と比べると、3・7倍超となった。自社の携帯電話ユーザーに「auでんき」を提供するKDDIの北陸総支社の担当者は「自由化への関心が高まっている」といい、契約ペースは「順調だ」という。

 新電力のエネット(東京・港)と昨年4月から歯科医院向けの電力販売を全国展開する歯愛メディカルも、「想定以上のペース」(担当者)で契約を獲得。1年で3千件を目標としていたが、すでに4千件を超えた。

今月から参戦

 参入の動きも広がる。AOIグループ(福井市)傘下のAOIエネルギーソリューション(同)は4月から、F―Power(東京・港)の代理店として福井と石川の両県を中心に営業する。すでに専用ホームページも設置。北陸電より最大で年約1万2千円安くなる点を売りに、1年で2万件の契約を目指す。

 太陽光発電ベンチャーLooop(ループ、東京・文京)も4月中旬から北陸3県で参入に踏み切る予定だ。新たなメニューを提示する企業が増えれば切り替えの動きが加速する可能性がある。

 一方、活気づいてきた電力の小売市場とは対照的に、4月から始まるガス小売りの全面自由化では北陸で目立った新規参入の動きはない。

 そうした中で日本海ガス(富山市)は今夏をメドに新しい料金プランを打ち出す。床暖房などの利用状況に応じて多様な料金メニューを検討しているという。

 競争激化に備え、2018年には持ち株会社に移行する予定で、新田八朗社長は「新しい事業展開や他社との業務・資本提携など機動的にできるようにする」と語る。

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