首都圏もガス値下げ競争過熱 ニチガス、東ガスより3.6%安いプランで対抗
LPガス大手の日本瓦斯(ニチガス)は20日、4月から関東地域で販売する家庭向け都市ガスの料金プランを発表した。東京ガスから切り替えると約3.6%安くなる価格を打ち出した。4月に始まる都市ガス小売りの全面自由化を控え、関西では価格競争が先行しているが、最大市場の首都圏でも競争が過熱しそうだ。
「圧倒的な都市ガストップ企業に挑戦するリスクを取っても、新しい都市ガス事業に挑戦したい」
ニチガスの和田真治社長は20日、記者会見し、東ガスへの対抗心をあらわにした。
和田社長は関東が国内最大の商圏であることに触れ、今後の競争激化に備えて「異業種との連携による新たなイノベーションを構築したい」と強調。ニチガスは提携先の宅配水や通信事業者のサービスを契約すると最大で28.6%安くなる戦略的な価格も提示し、初年度に新たな顧客11万件の獲得を目指す。
ニチガスはもともと東ガスから32万件分の液化天然ガス(LNG)の卸供給を受けていたが、この4月から供給元を東京電力ホールディングス(HD)傘下で小売り事業を手掛ける東電エナジーパートナー(EP)に切り替えることを決め、東ガスとは“因縁”の関係にある。
東電EPとニチガスは共同出資会社を設立することも検討しており、東ガスの広瀬道明社長は東電・ニチガス連合を「最大・最強の組み合わせ」と警戒する。
一方、関西では関西電力が2回にわたって料金引き下げを発表するなど大阪ガスとの値下げ合戦が激化している。愛知、岐阜、三重の東海3県エリアでも、中部電力が東邦ガスより安いプランを発表し、新規参入する電力会社が既存大手のガス会社より安いプランを提示する構図となっている。
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■電力・ガス各社の4月以降の家庭向けガス販売戦略
≪関東≫
東京電力エナジーパートナー 7月に参入。具体的なプランは未発表
東京ガス 電気とのセット契約でポイントを付与
日本瓦斯(ニチガス) 東京ガスから切り替えるだけで約3.6%安くなる
≪関西≫
関西電力 電気・ガスのセット割などで大阪ガスより約13%安くなる
大阪ガス 従来と比べ最大7.5%値下げ。住まいのトラブル対応サービスを拡充
≪中部≫
中部電力 電気・ガスのセット割などで東邦ガスより約7%安くなる
東邦ガス 従来と比べ1.5%値下げ。ポイントサービスの内容を拡充
※値下げ幅は標準家庭で現時点のプランと比較した場合