大和証券グループ、若手社員の奨学金を一時肩代わり 人材確保につなげる狙い

大和証券グループ本社は22日、大学時代などに奨学金を利用した若手社員に対し、会社が一時的に肩代わりし、返済を猶予する制度を導入する方針を明らかにした。働き方改革の一環として社員の経済的負担を減らし、仕事に集中できる環境を整える。今夏にも導入し、優秀な人材獲得や離職防止につなげる狙いだ。

 同社によると、大手金融機関で奨学金の肩代わり制度は初めて。制度は貸与型の奨学金を借り入れたグループの新入社員や若手社員を対象とする方向。会社が一括で全額を返済し、社員からの返済は5年間猶予する。

 利子のある奨学金の場合も無利子とする方針で、社員にとっては利子の支払い分が軽減される。中田誠司社長は「初めての社会人生活に格闘しながらの奨学金の返済は負担が大きい。社員が仕事に打ち込めるようにしたい」と話した。



インタビューに答える大和証券グループ本社の中田誠司社長=15日、東京都千代田区

大和証券グループ本社の中田誠司社長はインタビューに応じ、社員が学生時代に借りた奨学金をいったん肩代わりする「奨学金返済サポート制度」を新設する方針を明らかにした。奨学金を繰り上げて一括返済できるよう、会社の互助会が必要な資金を無利子で貸し付ける。入社から5年間は互助会への返済を猶予し、負担軽減を図る。今夏にも導入する考えだ。

奨学金を貸し付けている日本学生支援機構によると、大学生の奨学金の1人当たりの平均貸与総額(2016年3月に貸与終了の場合)は、無利子型237万円、有利子型343万円。機構では、年収300万円以下の場合は返済を猶予したり、所得が低い入社当初の返済額を抑制する方式も導入したりしている。だが、奨学金の返済が重荷となり、返済できず自己破産に至るケースが報告されている。

中田社長は「奨学金(返済の)負担に煩わされることなく、仕事に集中してもらいたい。人材の引き留めにもつながる」と語った。優秀な人材の確保が狙いで、肩代わりの上限額や互助会への返済方法など制度の詳細を今後詰める。(2018/05/22-12:20)