行動経済学には、エコンとヒューマンという考え方があります。

行動経済学には、エコンとヒューマンという考え方があります。どちらも同じ「人間」を表わす用語です。これは2種類の人間がこの世に存在するという意味ではありません。概念的に人間を定義しているものです。

「エコン」は純粋に自分の利益だけを考えて、合理的に判断し、冷徹に行動する人です。一般の経済学では人間は全て「エコン」だと考えます。彼らには“優秀な営業担当者”の手練手管は一切通用しません。

営業担当者:「私の父もがんになったのですが、保険に入っていたおかげで救われました。だから……」

エコン客:「誰もあなたのお父さんのことは聞いていません。それよりもがんになった場合に必要とされる費用の平均を、私の年齢及び今後の加齢に伴うがん発症確率分布グラフ上にプロットしてください。次に、支払うがん保険の保険料を段階的にプロットして、さきほどの曲線と交差する以下の水準であれば、加入を検討してみます」